働き方改革

【今こそ革命を!】観光業界に求められる働き方改革とは!?

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栃木県庁で開催された働き方改革セミナー。JTB総合研究所の枡本修一さんが講師として話をしてくれました。枡本さんは元ホテルマン。現場をよく知っている人なので、実践的な話が盛りだくさん。

今観光業界に求められる働き方改革とはなんなのでしょうか。詳しく説明していきます!

目次
1.労働生産性を高めればいいの?
2.変化する集客方法と変わらない観光業界の勤務体制
3.変わらない昔ながらの経営手法
4.働き方改革を実施した具体例
5.なぜ?に対して「昔からやっているから」は要改革!
6.働き方改革は誰のため?
7.やっぱり現場をよく知る事は大事!

1.労働生産性を高めればいいの?

労働生産性とは「労働(投入資源)に対する成果・売上・利益がどれだけ上げられたのか」ということです。

X人にY時間働いてもらってどれだけ売上(利益)がアップしたのかorどれだけ販売管理費(コスト)が下げられたのか、その効率をどんどん上げていくことが働き方改革につながる、と枡本さんは話しています。

「じゃあ労働生産性向上のために頑張ろうぜ!」

これだと実際何をすればいいかわかりません。労働生産性を上げることが働き方改革の最終目的なのか?観光業界の現状を見ながら紐解いていきましょう!

2.変化する集客方法と変わらない観光業界の勤務体制

自分たちの地域、観光施設に集客する方法は一昔前とは大きく変わっています。インターネットの普及、交通アクセスの利便性向上など様々な理由がありますが、具体的には

①リアル(対面式店舗)での予約→OTA(オンラインでの予約)
②紙媒体での広告→SNS等インターネットを利用した広告
③団体客中心→個人客+インバウンド中心

へと変化しています。

集客方法、さらにはお客様が余暇を楽しむ方法が変化している中、観光業界、宿泊業界の現状はどうなっているのでしょうか?

3.変わらない昔ながらの経営手法

時代は変わりつつある中、就労状況が変わらない現状も。

直近で決まる勤務シフト、週末は繁忙期のため休みが取れない(友人と交流できない)、給料安い、キャリアアップができない、名ばかりの管理職離職率の高さ、評価制度がなく自分の価値観がわからない、中抜け(昼休み)の勤務体制、長時間拘束…

すべての観光施設が上記のような現状とはいいません。ただ、実際現場レベルで未だにこういうことが起こっているのは事実。この事実が「観光業界は魅力のない就職先」というイメージを作り上げています。

今後、人口減少、特に生産年齢人口(15歳以上65歳未満の労働力となる人口)が減っていく中で、人材不足はますます深刻になっていきます。

観光業界で働きたい!未来ある楽しい業界だ!これからの若い人達に希望を持ってもらうためにも過去の習慣・風習・思い込みを打破する必要があり、それこそが働き方改革なのです。

4.働き方改革を実施した具体例

実際に新しい制度を導入して、働き方改革に成功した事例を紹介します。

(1)中抜け勤務を解消

宿泊業界はお客様がチェックインしてから夕食を食べ終えるまで(15時頃~夜)と朝食を食べてからチェックアウトするまで(朝~10時頃)が忙しいことが多く、朝出勤して昼から2~3時間休憩して15時から出勤という例も珍しくありません。

2~3時間の休憩って何するの?

昼寝したり家事したり…との返答もあるのですが、実際は午後また働くので拘束時間の一部となっています。私もホテルで働いていた事がありますが、とても当たり前な事でした。しかし、あるホテルでは社長自らシフトを作成し、業務の無駄やムラを改善することで、朝~夕方、夕方~夜の中抜けがない勤務体制を作ったそうです。

(2)業務の棚卸し+全スタッフの総労働時間

無駄な業務は省く、と口で言うのは簡単ですが、実際数値や金額、時間に落とし込むのは難しいこと。1人1人の業務を見るのももちろん大切ですが、会社全体を俯瞰的に見ることで働き方改革に成功した事例も。

例えば、ある日の宿泊客数が200人だとすると、フロントで30時間分、レストランで40時間分、など総労働時間を先に割り出してから一人一人のシフトを埋めていくことで無駄を省いたそうです。

「この日は忙しいから4人とも○時~○時まで8時間」それだと大雑把すぎて無駄がでてしまう、という考えです。

(3)備品置き場を全て番号で管理

デスクが汚れている人は探し物に時間をかけることが多いです。1日1回探し物に5分の時間をかける人は、週に5分×5日=25分、月に25分×4週=100分も無駄にしています。

倉庫内の備品や掃除用具など全て区画分けして番号を振ることですぐに必要なものを取り出すことができるシステムを構築した施設もあるそうです。これなら、お客様から要望があった時も待たせずに対応できますね。

ちなみに「○○下さい」と普段あまり使わないようなものをスタッフに頼んだときにどれくらいで手元にくるのか計るとキチンと物が整理されているかどうかわかるみたいですよ。(ドキッ)

5.なぜ?に対して「昔からやっているから」は要改革!

「昔からこうやっているから」、そこで思考が止まっている場合、無駄が発生している可能性があります。理由を考えて本当に必要かどうか考えてみる。これだけでも働き方改革につながります。

「これ本当に必要?」、「なんでこんなことやってるんだ?」

たった一言の疑問が業務の効率化へのヒントに!

6.働き方改革は誰のため?

4.で紹介した働き方改革に成功した事例、改善後新たな問題が発生したこともあったそうです。

それはスタッフの気持ちの中で「労働生産性アップ」が目的になってしまった事。労働生産性をアップするために顧客満足度が下がってしまった事例も。例えば、2時間くらいかけて楽しみたいコースの食事も施設側の都合で、どんどん提供して1時間くらいで食事を終えてもらう。

業務効率は上昇しているかもしれませんが、これではお客様が置いてきぼり。本末転倒です。

ここで、1,での問いかけ、「労働生産性を上げることが働き方改革の最終目的なのか?」への返答です。

働き方改革は
お客様≧従業員>会社
のためです。この考え方を変えなければ顧客満足度が下がることはありません。もし会社のための働き方改革をしてしまった場合、「おもてなし」はなくなるし、サービスも低下します。目的と手段を見失わないようにしましょう。

7.やっぱり現場をよく知る事は大事!

「経営者より現場をよく知るアルバイト」
従業員とコミュニケーションを取るのが現場を知る一番手っ取り早い方法です。欧米ではウォークスルーという手法が定着しているそうで、出勤前に全ての部署を回ってコミュニケーションを取ったり敷地内外をくまなくチェックするそうです。我々もぜひ見習いたいですね。

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