インバウンド考察

日本らしいグローバル化とは?欧米豪市場を見据えて【セミナー】

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今回はかなりテンション上がりました。2019年2月28日、欧米豪市場向けインバウンドセミナー「欧米豪からの訪日外国人へ向けた商品販売力強化、そして満足度向上につなげるには」、参加してきました。

なんと今回の講師は「しごとの基礎英語」(NHK)にレギュラー出演しているルーシーことルース・マリー・ジャーマン氏。いやー、ツーショット撮れたー、ウレシ-!

共演している大西先生の話にもなり「大西先生の“一億人の英文法”めっちゃ読みました!」と言ったあと「そういうやルーシーさんの本読んだことないや」と思いつつ…


一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)

話が逸れました。セミナー内容もここ最近では1,2を争うほどのおもしろい内容!日本らしいグローバル化とは?考えさせられました。

目次

1.オリンピックの後も増え続ける外国人
2.今、日本に起きている事は半世紀前にハワイで起きた事
3.言わなくても伝わる日本人、言わなきゃわからないアメリカ人
4.外国人への情報発信の秘訣
5.日本らしいグローバル化って結局のところ…
6.日本人の英語能力って意外と…!?
7.ルーシー流外国人と話すコツ
8.日光市最新インバウンド情報

目次が8個もありますね。長いですが、その分これからのインバウンドにはかかせない情報ばかり!

1.オリンピックの後も増え続ける外国人

「東京オリンピック決まったぞー!ウオォー!」となってから気づけば5年半が経ちました。(決まったのは2013年9月)オリンピックがあるから外国人が増えるという声も多かったですが、1,2年後のことよりもさらに先を見据える必要があります。

明日の日本を支える観光ビジョン(構想会議の議長:内閣総理大臣)では、2030年には訪日外国人旅行者数の目標値を6,000万人としています。

我々で言えば、日光市、栗山が6,000万人の外国人をどれだけ担っていくのか、が大事になるそうです。つまり、各自治体は6,000万人のうちからどれだけの外国人を呼びたくて、どんな外国人に観光してもらいたいのかをしっかり決めてPRしていかなければいけないということ。

日本に限らずインバウンドに力を入れた国は、最初は近隣国からの訪問が多くなる傾向があるそうです。日本で言えば、今まさに中国人、韓国人、台湾人などのアジア諸国の外国人観光客が多くの割合を占めています。

しかし、今後は遠くの国、欧米豪の外国人集客にも力を入れていく必要があります。するとどういう事が起こるでしょう。国内旅行の延長のように何度も日本に訪れているアジア人(ただし中国人は別格)は比較的、滞在日数も短く消費額も少ないです。しかし、遠くからくる欧米豪の外国人にとってそう簡単に来ることのできない日本。せっかくの日本旅行だから、いい宿に泊まって、おいしい物食べて、泊まれるだけ泊まって…

我々が海外旅行に行く時と同じです。遠くに行けば行くほどかけるお金の額が大きくなりますよね。

つまり、2020年以降は客数だけでなく、滞在日数、客単価をどう上げていくかが重要となります。宿泊、飲食に加え、現地での体験プランの充実も効果的なインバウンド対策です。

2.今、日本に起きている事は半世紀前にハワイで起きた事

ちょうど今、日本に起きているインバウンド旋風は半世紀前にハワイで起きた現象と似ているんだとか。

ハワイは1959年にアメリカ合衆国の50番目の州に仲間入りします。と同時にホテルやマンションの立ち並ぶ都会へと姿を変え、観光産業を収入の柱にしていきます。

ハワイにとっての外国人観光客のターゲットには日本も含まれています。(ハワイは今でも日本人にとって人気の観光地ですね)ハワイで育ったルーシーさんは子供の頃、日本人に「ワイキキって知ってる?」と聞かれることも多かったそうですが、日本で言えば「北海道って知ってる?」くらいの質問。

そりゃ誰でも知ってるわ!レベルだった質問が気づけば「ハナウマベイって知ってる?モロカイ島行ったことある?」とだんだんマニアックな質問に変化していったんだとか。

「えっ!?地元の人も行ったことないような場所も知ってる?」子供ながらに確実に日本人観光客のリピーターが増えていることを実感したそうです。

今まさに日本で同じ事が起こっています。栗山って知ってる?あと、栗山って知ってる?とかそんな感じ。

重要なのはここから。じゃあハワイはどうやって外国人観光客を増やしたのでしょうか?簡単なようで難しい事で、現地(ハワイ)の人のイメージ、印象を良くすることでした。外国人観光客を歓迎している気持ちを表し、自ら率先して外国人に話かけることを島民みんなが心がけていたそうです。

「外国人観光客が俺らの将来の仕事を作る」そんな気持ちも持っていたそうで、とても先見の明があるな、と感心しました。

この手の記事では毎回触れますが、ハワイの事例でも“言語対応”は含まれていません。やはり気持ちが大事とルーシーさんもおっしゃっていました。

3.言わなくても伝わる日本人、言わなきゃわからないアメリカ人

これ根拠あるんかな?と毎回思っていましたが、データとしてあるそうです。

low、低ければ低いほど、言わなければわからない文化、空気を読まない国
High、高ければ高いほど、言わなくても通じる文化、空気を読む国

アメリカ、オーストラリア、カナダ、オランダ、ドイツは言わなければわからない国のトップにいますね。ジッと目を見つめて「察してくれ~!」と念じても伝わらないので、必ず言葉にして伝えましょう。

逆に日本を含むアジア諸国、フィリピンやタイなどは言わなくてもわかる国のトップにいます。しかし、このデータはお互いに母国語を使用している前提でのこと。つまり空気読む国同士でも、どちらかが外国語で話している場合、やはりジッと見つめて「空気読んでくれ、頼む~!」と念じても伝わりません。

いずれにせよ、どの国の外国人に対しても、守ってほしいルールや日本ならではの文化は直接伝えなければわからないということですね。

4.外国人への情報発信の秘訣

さて、話題は変わって今度は情報発信の注意点。多言語対応の時によくあるのが、日本人向けの情報をそのまま外国語に翻訳してしまうこと。どうしていけないのでしょう?日本人の“あたりまえ”が外国人にとってはあたりまえじゃないからです。日本の事わかっている前提で情報発信してしまうと理解できない外国人もいます。


ではどうすればいいかというと、外国人の日本への理解度をレベル分けしてレベルに合った情報を発信することです。例えばレベル1の外国人を日本全然知らない&日本語わからないくらいだと考えるといきなり露天風呂の体験はハードルが高すぎます。室内のバスタブに浸かったり唐揚げを食べるだけで十分日本ならではの体験です。

少し日本を知っている(レベル2)、日本の有名な観光スポットは大体行ったことある(レベル3)といったようにレベル分けすることで、どれくらいの体験で満足くれるのか予想することができます。

レベル3の人に唐揚げ勧めても物足りないし、レベル1の人にサンショウウオを勧めてもちょっと引いちゃう。どんな外国人に来てもらいたいか決めた上で、情報発信の内容を決めるのが効果的ですね。

ちなみに日光市はレベル3のリピーター外国人がかなり多いそうですが、今後、レベル1の外国人も増えると思われるので、日本の事をどうやってわかりやすく伝えるかが重要になってきます。

 

(俺、レベル1の外国人にサンショウウオ勧めてたわ…)

5.日本らしいグローバル化って結局のところ…

グローバル化とか言われるとなんだか難しいですが、簡単に言うと「どんなに外国人観光客が増えても日本らしさをなくすな忘れるな」この一言につきるのではないでしょうか。

外国人観光客が日本でしたいことの上位にはいつも「日本食を食べたい」、「温泉に入りたい」、「日本の街並みを歩きたい」などがランクインしています。外国人も日本らしさを体験したくて訪日しています。海外の文化を無理に取り入れずそれまで通りにお客様をもてなせばきっと喜んでくれるはず。

「自分達の付加価値は何なのか、よく考えて下さい」ルーシーさんの言葉が刺さります。

6.日本人の英語能力って意外と…!?

日本人は英語を話せないし、他アジア国と比べても能力が低い、といった意見を耳にしたことがありますが、どうなんですかね?

そこらへんもプロ中のプロであるルーシーさんがズバリ!

「日本人は文法も単語もよく知ってる。発音だってキレイ!足りないのは自信!正しさよりも言い方とハートが大事!スピーキングの練習は仕事で実践すればOK!」と、一息で言い切りました。

“英語”、おそらくこの言葉が苦手イメージを引き出しているのではないでしょうか。ヨーロッパの外国人を見ても「英語上手い、ネイティブ」とイメージしがちですが、ヨーロッパの多くの国は英語以外の母国語があります。世界の英語使用人口を見てもノンネイティブの方が比率が多いです。

日本に来る多くの外国人も第二言語として英語を使用しています。そう考えると気持ちが楽になりませんか?日本人が英語を話すのと状況は一緒なのですから。※ちなみに世界で話されている言語トップ3は1位中国語、2位ヒンディー語(インドの母国語)、3位スペイン語、英語は4位。

みなさんは普段の(日本人同士の)会話で「いやそういう意味じゃなくて…」と正確な意味で言葉を言い直すことはありませんか?

例えば
私「昨日AさんとBさんの友達のCさんに会ったんだけど…」
友「ん?結局会ったのはAさんとCさん?それともAさんとBさんの共通の友達のCさん1人?」

修飾語って難しい。なにが言いたいかというと、このようなやりとりは英語ネイティブ間でも起こるので自分の英語がうまく伝わらなくても気にするな!ということです。

7.ルーシー流外国人と話すコツ

英会話を習っている暇はない!けど外国人の対応が迫られることも…外国人観光客が増え続ける昨今、そういう状況もあるでしょう。そこで、英語に自信がなくても外国人とコミュニケーションを上手くとれる方法をルーシーさんから直接伝授!

(1)相手に話してほしいスピードでこちらも話す

Please repeat much more slowly. (もう少しゆっくり話して下さい。)

相手が何を言ってるか聞きとれなかった場合に使えるとても便利なフレーズ。大事なのはどの位のスピードで言い直してほしいか。もちろんゆっくり言い直してほしいですよね。その時は上記のフレーズをゆ~っくり言います。「プリ~~~ズ、リピ~~~ト、マッチモア~~、スロ~~リ~~~」そうすると「オ~ケ~、ア~イム、ルッキング フォ~~~…」と相手も同じスピードに!

(2)外国人に話かける一言はこれでキマリ!

相手に話かける時はMay I help you?
相手への返答を考えるor誰か別の人を読んだりパンフレットを用意する時はJust a moment.

これさえ覚えておけば掴みはOK!あとは知っている単語でごり押ししてもなんとかなります。

(3)時間がない、話を切り上げたい時は、お決まりのあのフレーズ

せっかく英語を使うチャンスだし、もっと話したいけどこの後予定があって時間がない!そんなときは誰でも知ってるあのフレーズが便利。

Thank you so much. Have a nice day.

直訳すると「ありがとう、よい一日を」ですが、日本語的には「じゃあもう行くから話はこれまで、以上。」の意味合いがあるんだとか。好奇心おうせいな外国人に質問攻めされることもあるでしょう。そんな時は、このフレーズを思い出して下さい。

8.日光市最新インバウンド情報


セミナーの最後に、日光市観光振興課の星野さん(2019年3月現在)が栃木県&日光市の最新インバウンド状況について話してくれました。

(1)伸び率で見る日光市の欧米豪市場

today_グラフ_訪日_欧米豪_年
上のグラフは日本全体の欧米豪外国人観光客の推移ですが、日光市は欧米豪市場を重点市場としていることもあり、日本全体の欧米豪市場の伸び率よりもさらに伸び率が上昇しているそうです。

また、スペインで日光の認知度調査を行なった結果、「日光を知っている」というスペイン人が6割もいたとのこと。「4.外国人への情報発信の秘訣」で述べた内容に照らし合わせるとレベル2と3に該当する外国人が多いのかもしれません。情報発信対策もできますね。

(2)課題もあり!栃木県の外国人観光客消費額

外国人観光客が旅行で使うお金には宿泊費、交通費、飲食費、ショッピング費、娯楽費などがありますが、栃木県での消費は低く、全国的にも下から数えた方が早いレベル。

外国人観光客数×1人当たりの消費額×リピート率=外貨獲得金額

外国人観光客数も、リピート率も順調に伸びてきているとなると次の課題は、1回の旅行での消費額。日光市は夜遊ぶ場所が少ない、アクティビティが少ない、という意見もありますが、Kuriyama Go Travelとしても外国人がもっと楽しめるように企画を考えていきます。

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