前回は、高野山櫻池院(こうやさんようちいん)の取り組みについて触れましたが、今回はセミナーの後半部分である益子町民&宇都宮大学生を交えたトークセッション。今後、栃木県益子町(ましこまち)が取り組むべき、インバウンド対策を考察してみました。
1.益子町の観光客の傾向
まず、益子町にはどういった観光客が多いのか、ということを地元民から聞いてみると、日帰り&リピーターが非常に多いとのこと。リピーターが多いことは素晴らしいです。「また来たい!」と思ってくれる観光客は1人でも多い方がいいです。
「日帰り客が多い」これも悪いことではないです。しかし、1人当たりの旅行消費額を考えると町全体としては宿泊客を増やしたいのが本音だと思います。
2.益子町が抱える課題
セミナー後に私も益子町を散策しましたが、城内坂(じょうないざか)といういわゆるメインの通りに、お店が密集していて、歩きながら楽しめる街並みになっています。
益子駅から城内坂へは歩いていける距離ですし、関東やきものライナーという都内からの高速バスも出ています。魅力がコンパクトに詰まった街並みにはどんな課題があるのでしょう。
(1)宿泊施設の不足
地元の人によると宿泊観光客を受け入れる宿泊施設が不足していることが課題の1つだそうです。しかし、宿泊施設もすぐに増やせるものではありません。まずは今ある宿泊施設の稼働率の把握、共有が必要ではないでしょうか?宿泊施設と稼働率の兼ね合い、どこか1つの宿泊施設が1人勝ちするのではなく、地域全体で盛り上げるのであれば、情報共有しておきたいですね。
(2)益子焼きのイメージが強い町
焼き物のイメージが強い益子町ですが、少し町を歩くだけで、バラエティー豊かな町ということがすぐわかります。
オシャレなカフェ、パン屋さん、染織工房、美術館や博物館、様々な施設があります。益子焼き以外にもたくさんの魅力があることを多くの人に伝えていきたいですね。
(3)インバウンド対策
トークセッションの中では、外国人観光客も受け入れたい、という声も聞こえてきました。多言語表記、インバウンド人材の育成、情報発信、無料公衆無線LANの整備、外国人向けの着地型商品の造成、など取り組むことはたくさんあります。どこの国の観光客をターゲットにするのか、ということも明確にする必要があります。
3.今後、外国人観光客を受け入れていくには
外国人観光客に益子町の何を楽しんでもらいたいのか、という話ではやはり焼き物が1つの魅力という話がでました。インバウンドを町全体で積極的に受け入れるのであれば、目玉商品の選定とターゲットの明確化が第一に必要な取り組みでしょう。
益子焼きを中心に情報発信をしていくのであれば、ターゲットは欧米の方でしょうか?同町内にある美術館や博物館と合わせて、伝統や歴史、日本ならでは、という点は欧米の方にとってとても興味深いものだと思います。前回の記事で紹介した、櫻池院さんも、お寺の宿坊に泊まる、という日本独特の伝統に触れることができます。やはり、アジア系の方より、欧米からの宿泊者が圧倒的に多いそうです。
4.まとめ
最初にターゲットを決めておくことで、取り組むことが明確になります。英語圏の観光客に的を絞るのであれば、他言語表記も英語中心にしていけばいいですからね。講師の山本さんも「まずは英語表記すれば十分」とおっしゃっていました。
by Goichi Hikino