インバウンド考察

【事例紹介】僧侶に学ぶ宿泊客の増やし方 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

2018年1月20日(土)

宿泊客を増やすには!?~高野山櫻池院(こうやさんようちいん)における取り組みとその効果~

と題して益子町でセミナーが開催されました。和歌山県にある高野山櫻池院の僧侶である山本海史(やまもとかいじ)さんをお招きして、実際どんな取り組みをしているのか、とても具体的に話していただきました。

インバウンド要素もかなり強い内容でした。ポイントをまとめて紹介します。

なぜ外国人観光客を受け入れるのか?

まず、外国人観光客を受け入れる背景には、日本人の参拝客、宿泊客の減少があります。外国人観光客を受け入れる前は、お寺に所属してお寺を支援する檀家(だんか)さんの団体旅行が主要観光客でした。しかし、今日では、檀家さんの減少、また交通システムの発達により日帰り客の増加も相まって宿泊客は減少傾向にありました。

そこで2013年にOTA(Online Travel Agent インターネットでの予約手配に特化した旅行会社)であるBooking.comの利用をスタート。ここが外国人観光客を受け入れるポイントになったようです。今では、宿坊を利用するお客様のうちの外国人比率はなんと8~9割なんだとか!驚くべき比率であるとともに、もし外国人観光客を受け入れていなければ…と考えるとゾッとしますね。

Booking.com利用によるメリットとデメリット

例え外国人であれ、お客様が増えるのは良いことです。しかし、Booking.comの利用にはメリットだけでなくデメリットもあります。もし、利用を検討している人がいれば参考にしてみて下さい。

(1)メリット

業界最大手の1つであるBooking.com、サイト利用者が多いのはもちろんですが、基本的に現地決済なのでお客様にとって予約の手間が少ないのもメリットです。現地決済であればクレジットカードの登録も必要ないですし、条件によってはキャンセル料を払う必要もありません。

(2)デメリット

しかし、裏を返せば簡単にキャンセルができるので、キャンセル率の増加にもつながります。また、事前にキャンセルがわかればまだマシですが、連絡もなく当日現地に来ない、いわゆるno showの場合もあります。

櫻池院ではデメリットもあるが、メリットの方が大きいからBooking.comの利用を続けているそうです。しかし、世界規模のOTAに登録すれば、どこでも外国人観光客が押し寄せる、というわけではありません。外国人観光客に満足してもらえるよう日々行なっていることの積み重ねがあるからこそ、櫻池院には外国人がたくさん宿泊されるのだと思います。では、実際にどんな取り組みをしているのでしょうか?

外国人観光客を受け入れるための大切なポイント

(1)語学力は大して重要じゃない

アメリカへの留学経験もある山本さんは英語ペラペラです。しかし、大切なのは語学力ではなく笑顔でお客様に接することだと言います。とはいえ、「やっぱり英語話せないと不安」という気持ちもあるでしょう。

日本人は自分達が思っているよりも英語を意外と使っています。「スロウ、イージーワード」など聞き慣れたカタカナ英語でも意志は伝わります。日本人のお客様と同様、恐れず笑顔での接客が一番大切。また「恐怖や不安による緊張が、コミュニケーションを妨げる。」ともおっしゃっていました。とても貴重な言葉です。

(2)守るべきルールがあることをしっかり伝える

櫻池院では、宿泊されるお客様に事前にお寺のルールを伝えています。旅館やホテルと違い、門限や朝の法話などお寺ならではのルールがあり、それを事前にお客様に伝えています。


実際に使われているお客様への説明(英語)

事前にしっかりルールを説明しているにも関わらず、ルールを破ってしまったお客様にはしっかりと「それはやってはいけないことだ」と伝えることも大切だとおっしゃっていました。

(3)外国人を無視しないで一緒に体験する!

お経を読む、というのは日本独特の文化です。だからと言って、外国人がやってはいけないわけではありません。櫻池院では、般若心経をローマ字表記にし、外国人にも読めるようにしたい、般若心経の意味を英語で説明した資料も用意しています。


日本の文化を見る、だけではなく一緒に体験することで外国人の心を掴んでいます。

(4)他寺との差別化

櫻池院以外でも宿坊を営んでいるお寺はたくさんあります。では、櫻池院が他寺とどこで差別化を図っているのでしょうか?

答えは、お客様の口コミにありました。他寺の宿坊を利用したお客様の口コミに多いのが、「料理がおいしかった」、「お風呂がよかった」などの施設、ハード面の評価だそうです。一方、櫻池院では、接客に関する口コミがとても多く、人と人のつながり、コミュニケーションが高い評価を受けているそうです。上記した、取り組みが功を奏しているのですね。

まとめ

「守るべき伝統はキッチリ守り、変えるところは変える」と強く山本さんは言っていました。やはり、インバウンドを推進するには、メリットだけでなく弊害も少なからずあります。しかし、ゴールである「参拝客の増加」に向かうためには、その弊害も覚悟の上で取り組まなければいけません。

ゴールを決めて、道筋を作り上げていく。インバウンドに限らず、人生の考え方においてとても考えさせられる内容でした。

次回は、セミナーの後半で行なわれた講師と益子町民&宇都宮大学生のトークセッションです。益子町(ましこまち)がインバウンドを推進していくためにはどうすればいいのでしょう?

次回→益子町の外国人観光客を増やすには

高野山宿坊櫻池院

by Goichi Hikino

 

 

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

日光の観光ツアー企画、インバウンド業務の無料相談受付中

無料相談受付中!まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

無料相談!まずはお問合せください

コメントを残す