今回は、栃木県日光市栗山地域の中でもかなり小さい集落、野門(のかど)にある民宿福冨士(ふくふじ)のインバウンド対応事例を紹介します。
野門地区は人口約30人の小さな集落ですが、3軒の民宿があります。そのうちの1つが福冨士さんです。交通手段はマイカーか日光市市営のバスのみ。標高も1000mほどある野門地区。しかし、福冨士のリピーター率は驚異の6割。もちろん外国人のお客様もどんどん増えています。どうしてこんなにもたくさんのお客様が訪れるのでしょうか?
1.看板娘の女将、みっちゃん
「おかえりなさい!」と入口で出迎えてくれるのが、女将のみっちゃん。みっちゃんは語学が堪能なわけではないですが、外国人観光客でも「わざわざ遠くから来てくれたから存分にくつろいでもらいたい」という気持ちを持って接しています。
2.みっちゃんを支える夫のたかおさんと姑のあいちゃん
「みっちゃんは忙しそうに動き回っているけど、必要な時に来てくれるし、お客さん1人1人をちゃんと見ている」とJapan travelの記事でも紹介されました。同時に、夫のたかおさん、姑のあいちゃんがしっかりみっちゃんを支えているからこそ、みっちゃんが動き回れる、とも伝えています。
3.日本らしさを感じることができる囲炉裏(いろり)料理
囲炉裏で暖を取り、食事をする、日本ならではの文化です。野門にある3つの民宿では、どこでも囲炉裏料理がふるまわれます。中でもサンショウウオは栗山地域ならではの食材。湯西川館本館さんでもそうでしたが、日本ならでは+地域ならではの組み合わせも外国人観光客に喜ばられる理由の1つです。
4.多言語対応は手段の1つでしかない
多言語でお客様の出身国に合わせてサービスできれば、きっとお客様も喜びます。しかし、多言語対応というのはツールの1つであり、目的ではありません。例え日本語でも「楽しんでほしい、くつろいでほしい」という気持ちがあれば、お客様も満足して帰ってくれます。福冨士さんはまさにそのいい例です。
5.「多言語対応をしていない」、と最初に伝えるのも1つの方法
先述したJapan travelの記事に、“Knowing a little basic Japanese would serve you well.”という一文があります。「ちょっと日本語知っておくとコミュニケーションがスムーズになるよ」と観光客に向けてのメッセージ。
「外国語話せません、だから外国人お断り!」ではなく、「外国語はそんなに話せないけど、日本人と同じように楽しんでもらいたいし、おもてなしします。」と事前に伝えておくだけで、語学の壁は簡単に乗り越えられると信じています。