インバウンド考察

【事例紹介】湯西川館本館の女将が取り組む柔軟なインバウンド対応

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栃木県日光市湯西川(ゆにしがわ)と言えば、かまくら祭りが有名です。他にもかまくら祭りを開催している観光地が多くあるにも関わらず、検索サイトで「かまくら祭り」と入力すると1ページ目には、湯西川の情報ばかり。


2018年で25周年を迎える湯西川かまくら祭り。外国からのお客様も年々増加している、という話も地元の人からよく聞きます。今回は、外国人観光客が増加する中、どのように対応をしているのか、湯西川館本館さんの取り組みを紹介します。

1.湯西川館本館の特徴

湯西川館本館の最前線でお客様をおもてなししている女将の伴弘美(ばんひろみ)さん。美肌の湯と称されるほどの温泉、女将さんの人柄、リーズナブルな宿泊費、リピーターの方も多い旅館です。

2017年に外国人目線で栗山の魅力を発掘してもらうための外国人モニターツアーを開催した時にも心よく協力してもらいました。先述しましたが、外国人観光客が増えている昨今、どのように対応しているのでしょうか?

2.湯西川温泉に来る外国人観光客の特徴

まず、湯西川温泉にはどのような外国人が来るのでしょうか?実際に湯西川を訪れた外国人にインタビューしてみたり、地元の人に話を伺ってみると、大きく分けて2種類の外国人観光客がいることがわかりました。

(1)VFR(Visiting Friends and Relatives)

友人や親戚などを訪ねる旅行スタイルです。湯西川に来る外国人は日本語がわかる日本人などと一緒に旅行に来る人が多いです。言語の心配がなく、安心して観光を楽しめますね。

また、一度湯西川に訪れた外国人がブログやSNS(フェイスブックやインスタグラムなど)で情報を発信することで、その情報を頼りに湯西川に訪れる外国人もいます。伴弘美さんも「口コミはあなどれない」と言っていました。

(2)booking.comの利用による訪問

もう1つの導線はbooking.com(OTA Online Travel Agent)による宿泊予約からの訪問です。同じ湯西川温泉にある本家伴久さんでは、OTAの活用と同時に外国人スタッフの登用にも積極的です。世界規模で展開しているOTAの利用は、より多くの外国人に見てもらいやすく、宿泊機会を増やすにはすぐに始められる方法ですね。

3.湯西川館本館でのインバウンド対応

さて、本題の湯西川館本館さんでのインバウンド対応ですが、いくつかに分けて紹介します。

(1)食事制限、アレルギーなどに柔軟に対応

外国人モニターツアーの宿泊先としてお願いする時に、一番不安だったのが食事の対応。しかし、相談に行った時に弘美さんは二つ返事で「大丈夫!」と言ってくれました。どうしてそんな簡単に引き受けてくれたのだろう?と思いましたが、背景には「子供たちへの対応」がありました。

湯西川館本館には合宿で泊まる子供たちも多いとのこと。食べれないものやアレルギーなどが多い子も中にはいるそうで、その子供たちの対応をしているから慣れているんだとか。思わぬ所でインバウンド対応の弊害を取っ払っていたのは、目から鱗でした。

幸いにも、モニターツアーでは「納豆がダメ」という参加者がいたくらいでしたが、事前に要望を聞いた上で、しっかりと対応して下さいました。

(2)地域ならではの魅力+日本ならではの魅力

外国人観光客は、「ここでしかできない体験」に加え、「日本ならではの体験」にとても興味をもってくれます。弘美さんはそのどちらもミックスさせた湯西川ならではの体験を外国人に提供しています。


外国人への着物の着付け体験は定番ですが、何度体験しても楽しめます。天気が良ければ、同じ湯西川温泉にある茅葺き(かやぶき)屋根が特徴の平家の里での写真撮影も可能です。


音楽に合わせて着物を着ていく着つけ舞。


湯西川に昔から語り継がれている民話を語るかたりべ。

着物の着付け体験だけでなく、着つけ舞、かたりべなど地域ならでは+日本ならではの体験を1つの旅館でこんなにたくさん体験できるのは、全国で見てもなかなかないでしょう。

(3)でも、一番大切なのは気持ち

色々お客様に体験してもらうのも大切ですが、やはり最後に行きつくのはお客様に心ゆくまで楽しんでもらいたい、という気持ちです。「ひとの温もりを感じられるお宿だった」、「ここで本物の温泉に出会えた」と喜びのお言葉をいただいた時は本当に嬉しい、と話す弘美さん。外国人でも日本人でも分けへだてなくおもてなしするのが、湯西川館本館の1番の魅力ではないでしょうか。

by Goichi Hikino

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