インバウンド考察

【多言語対応】最低限のコストで多言語表記する11つの方法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

増え続ける外国人観光客に対応するための課題の1つに「多言語表記・対応」があります。言語習得(英会話など)と同様、時間も費用もかかります。今回はなるべく費用を抑えて多言語対応する方法を紹介します。

目次

1.多言語表記する媒体
2.まずはターゲットを明確に!
3.今すぐ実践、多言語対応!
(1)気合と根性で語学を習得
(2)オンライン英会話を利用する
(3)翻訳会社を利用する
(4)英作文添削サービスを利用する
(5)相互添削型のSNSを利用する
(6)留学生に協力してもらう
(7)翻訳ボランティアに協力してもらう
(8)機械翻訳を利用する
(9)観光庁のガイドラインや各省庁、各自治体で公開している多言語ツールを利用する
(10)観光庁、各自治体の補助金を利用する
(11)クラウドソーシングを利用する
4.多言語対応の先にある本当に大切なこと

1.多言語表記する媒体

多言語表記する媒体はいくつもあります。代表的なのは、HPやチラシ、パンフレットなどです。他にもお客様への案内文、ルール説明、商品説明、値段表記などシチュエーションによって翻訳される媒体は様々です。どういう場面でどんなお客様に見てもらいたいのか考えましょう。

2.まずはターゲットを明確に!

世界には3000以上(諸説あり)言語があると言われています。全ての言語を多言語化、というのは難しいのでまずはどの国の外国人に見てもらいたいかが大切です。

また、同じ中国語でも北京語や広東語(日本語:「ありがとう」、北京語:谢谢「シェシェ」、広東語:多謝「ドーツェ」)の違いや簡体字(主に中国で使われている)と繁体字(主に香港や台湾で使われている)の違いもあります。多言語化において一番メジャーな英語でもアメリカ英語とイギリス英語で違いがあったりします。(日本語:「高速道路」「エレベーター」、アメリカ英語:「freeway」「elevator」、イギリス英語:「motorway」「lift」)

3.今すぐ実践、多言語対応!

それでは実際に多言語対応するにはどういう方法があるのか見ていきましょう。1つ1つ別々で考えるのではなく、複数を組み合わせることでより効果的な対策ができます。

(1)気合と根性で語学を習得

最も時間がかかる方法ですが、自分自身が新たな言語を習得し、自ら翻訳をしてしまうやり方です。海外の情報を原文で読むことができたり、外国人と話すことができるなどメリットもたくさんありますが、なにしろ時間がかかります。ましてや2言語、3言語ともなると何年かかるかわかりません。

また、どんなに勉強してもネイティブのチェックはやはり必要なのも時間がかかる要因です。翻訳、多言語化以外にも語学を学ぶ目的がある方におすすめの方法です。自分の実力を確かめたい方はJTA(日本翻訳協会)TQE(翻訳実務検定)などの翻訳の試験や学校もあります。

実際に資格を取るために学校に通うのは時間もお金もかかります。翻訳術の本なども多数出版されているので一度どういう仕組みか見ておくのも参考になると思います。


翻訳の布石と定石 実務翻訳プロへの道


英文翻訳術

(2)オンライン英会話を利用する

主に英語への翻訳になりますが、オンライン英会話を利用して多言語表記する方法があります。英会話で翻訳?と思う方もいるかもしれませんが、事前に自分で書いた英文を講師に送り添削してもらうというやり方です。どういう風に表現したいかなど講師と話しながら進められるので、外国人への伝わり方も学ぶことができます。ただし、日本語がわからない講師も多いため、自分で英文を作る能力とそれを説明するための会話力も必要となります。

また費用もそれなりにかかります。ピンポイントでお願いするなら無料体験がある所も多く、安く抑えられるでしょうが、定期的に添削してもらう場合は、月額料金を払うことになります。私はDMM英会話を利用していますが、1日1レッスン(25分)のネイティブ講師がいるプランでだと月額15,800円かかります。

(3)翻訳会社を利用する

この方法が一番早く正確に多言語化できるのではないでしょうか。多言語SEO対策にも対応している会社もあります。ただしそれと同時に費用もかかります。1文字何円とか1ワード何円と表記されていることが多いですが、単価も会社によりけりです。予算が十分にある場合に検討したい方法です。

(4)英作文添削サービスを利用する

翻訳会社を利用するのと違う点は英語学習に特化している所です。(1)の独学で学びつつ、多言語化を進めていきたい場合、併用すると効果的です。サービスによっては、文法的な訂正、細かなニュアンスの違いなど解説付きで添削を返してくれるものもあるので、自分自身のスキルアップにもなります。しかし、1回の添削に文字数制限があったり、金額がそれなりにかかることも考慮して利用を検討しましょう。

(5)相互添削型のSNSを利用する

有名なのはLang-8(ランゲート)です。有料会員(年間契約で月額600円程度)もありますが、無料で利用することもできます。各ユーザーが母国語と学習したい言語をそれぞれ登録して、自分で書いた文章を投稿して他ユーザーに添削してもらうサービスです。

自分の母国語(日本語)と学習したい言語(英語)を登録して英語の文章を投稿すると、母国語(英語)の人が自分の文章を添削してくれる、といった具合です。逆に外国人の日本語を添削してあげることも可能です。弱点としては、日本語学習者が少なく、なかなか自分の英語を添削してもらえないことがあるということです。対策としては有料会員になって、誰かの添削があるまでトップページに表示してもらう方法があります。

費用としては安い方だと思うので、自分でそれなりに英語の文章が作れて、かつ時間に余裕がある方におすすめです。

(6)留学生に協力してもらう

近くに大学がある場合、留学生に日本語の文章を外国語に翻訳してもらう方法もあります。大学とつながりがあると頼みやすいかもしれません。勉強のためボランティアでやってくれる場合もあればアルバイト感覚で引き受けてくれる留学生もいます。

国籍としては中国や韓国の比率が高くなりますが、それでも日本には世界中から留学生が来ているので、様々な言語に対応できる可能性もあります。ただし、日本語がまだぎこちなかったり、言い回しなどが適切でない場合もあるので、翻訳の精度としては場合によりけりです。事前に翻訳を引き受けてくれる学生とよく話した方がいいでしょう。

留学生をアルバイトで雇う場合は、資格外活動許可を受けている必要があり、労働時間にも制限があるのでそこらへんの確認もしっかりしておいた方がいいです。

(7)翻訳ボランティアに協力してもらう

翻訳ボランティアに登録している人は全国にいます。ボランティアですが、有料のものもあります。翻訳ボランティア団体や国際交流協会に直接問い合わせてみて下さい。ただ、ボランティアですので営利目的の翻訳は受け付けていないところも多いです。福祉や交流面で翻訳が必要、手紙やメールの内容を知りたいなど人や地域のためになるようなもので翻訳が必要な場合に協力をお願いしましょう。

(8)機械翻訳を利用する

実際に利用している企業も多いのではないでしょうか?確かに機械翻訳の精度はどんどん向上しています。注意点としてはあくまでも機械ということ。人の感情など繊細な部分は、どうしてもぎこちない表現になることがあります。それでも「時間も人もお金もない!」場合は機械翻訳に頼ることもあるかと思いますが、機械翻訳の利用にはコツがあります。

まず前提として日本語はとても間接的な言い回しが好まれる言語ということを知っておくことです。「私」、「あなた」、「いやです」などの言葉は省略、敬遠されがちです。翻訳先言語にもよりますが、口語で考えずキッチリした文章(主語や動詞、時制を明確に)で翻訳してもらった方が精度が増します。

また、機械翻訳にかける時はどこか1箇所の翻訳ではなく複数の翻訳にかけてどれが適切か選ぶ、もしくは組み合わせることで、より状況に適した翻訳ができます。翻訳比較ツールもあるので使いやすいものを選びましょう。

(9)観光庁のガイドラインや各省庁、各自治体で公開している多言語ツールを利用する

観光庁の「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」では、様々なシチュエーションが想定されたフレーズが用意されています。必要に応じてピックアップすることで、本当に必要なオリジナルの他言語マニュアル作成も可能です。外国人が理解しやすい表記方法も掲載されているので、多言語化ツールを自分で作らないにしても、見ているだけで参考になります。

例えば、芦ノ湖はAshino-Lakeではなく、Lake Ashinokoと表記した方がわかりやすい、と言ったように何気なく見落としがちな点もカバーしてくれています。

また、各省庁が発表しているガイドラインも業種や特定のシチュエーションに特化しているものがあります。厚生労働省が発表しているガイドラインでは、主に医療関係の他言語マニュアルを日本語含めて5言語発表していますし、経済産業省では小売業の接客場面で想定されるフレーズやピクトグラムが発表されています。

各自治体でも多言語ツールを用意している場合があります。【外国人をおもてなし】言語に頼らない「指差し会話シート」の可能性の記事でも紹介していますが、日光市では外国人接客向けの指差し会話シートなどもあります。

(10)観光庁、各自治体の補助金を利用する

お住まいの市町村により多少勝手が変わってくると思いますが、国全体がインバウンドを推進している現状で、多言語表記にかかる経費の一部を負担してくれる補助金制度も増えてきました。観光庁でも毎年予算をつけているし、日光市に関しても「日光市商品メニュー等多言語化促進事業補助金」という補助金制度が最近始まりました。

補助金を申請する際は、対象事業をよく確認し、提出書類なども揃える必要があります。予算と時間と相談しながら利用を検討しましょう。

(11)クラウドソーシングを利用する

クラウドソーシングとは主にインターネット上でクライアント(仕事を頼みたい人)が仕事依頼を不特定多数のワーカー(仕事応募者)に掲示して、能力の見合った人と仕事をマッチングするシステムです。有名な所だと、シュフティランサーズがあります。どちらも使ってみたのですが、個人的な感想としては、ランサーズの方が、語学関係の依頼、受注者が多いと感じました。

ワーカーのプロフィールから実績や語学能力をチェックできるので、翻訳してほしい言語の能力を持った人を探してみましょう。依頼金額は仕事内容によって様々です。納品希望日も指定できます。体感では英語、中国語の翻訳能力を持った方が多い感じです。もちろん韓国語やドイツ語などを引き受けてくれる方もいるので、どこの国からの外国人を受け入れたいか、などをじっくり検討して依頼をだしましょう。

4.多言語対応の先にある本当に大切なこと

外国人観光客が交通、飲食、ショッピング、宿泊、観光施設、全てにおいて不便さを感じずに旅行ができるように多言語表記、多言語対応が求められています。我々が旅行に行く時もそうですが、せっかくの休日にわざわざ旅行に行くのならば快適に過ごしたいものです。物理的な距離が遠くなればなるほどその気持ちは強くなります。

快適さに加え、旅行先で迎え入れてくれる人との関わりも欠かせません。「楽しんでいってほしい、わざわざ遠くから来てくれてありがとう」という気持ちを忘れずに旅行者を迎え入れたいですね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

日光の観光ツアー企画、インバウンド業務の無料相談受付中

無料相談受付中!まずはお気軽にお問い合わせ下さい。

無料相談!まずはお問合せください