インバウンド考察

外国人と日本語でコミュニケーション!?「やさしい日本語セミナー」

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2018年1月24日栃木県国際交流協会・日光市国際交流協会主催

講師に一橋大学国際教育センター准教授 栁田(やなぎだ)先生を迎え、「やさしい日本語」セミナーが開催されました。やさしい日本語がインバウンドとどう関係してくるのか、紹介します。

1.なぜやさしい日本語が必要なのか?

やさしい日本語が生まれた背景には、災害時の日本在留外国人(日本に住んでいる外国人)に対する配慮があります。英語はグローバルな言語として広まりつつありますが、英語をネイティブ(母国語)で使う人よりも、ノンネイティブ、もしくは英語を生活で使わない人の方が圧倒的に多いです。

1995年に起きた阪神淡路大震災、もちろん当時も日本在留外国人はたくさんいました。多言語化は理想であり、緊急時においては不可欠ですが、完全な多言語化は困難です。

「英語が伝わらない(非英語圏の外国人)+日本語は難しい」ならばやさしい日本語で外国人に情報を伝えよう、となったのが始まりだそうです。日本に住んでいる外国人は実は英語よりも日本語の方ができる人が多い、という統計もあります。

2.やさしい日本語って具体的に?

実はみなさんがよく目にするTVでもやさしい日本語が使われています。


画面中央の上部、「すぐにげて!」と簡単な日本語で全てひらがなで使われています。また、画面左下には「TSUNAMI」とすぐに判断できるように表記されています。


この画像に表示されている言葉は、外国人にとっては難易度が高く、災害時には、簡単な日本語に直して外国人に伝えるのが望ましいです。

①停電→電気が使えない、電気が来ないなど ②公共の交通機関→電車、バス(具体的な名称) ③電車が運転を見合わせています。→電車が止まっています。電車が動いていません。など ④ただちに避難してください。→すぐに逃げてください。など

また長い文章、特に敬語をしっかり使うと文全体がぼやけてしまい、外国人にとっては理解しにくくなります。例えば、「こちらの方にご記入いただいてもよろしいでしょうか?」という文章でも「ここに書いて下さい。」と言い換えた方が、しっかり伝わります。

やさしい日本語かどうかわからない時に使えるツールも教えてくれました。ぜひ活用してみて下さい。
やさしい日本語チェッカー
文章を入力するだけで難しい文かどうかチェックしてくれます。

3.インバウンド市場におけるやさしい日本語の使い方

もちろん、各国の外国人に会わせてそれぞれの母国語で対応できれば一番ですが、世界には言語がたくさんあります。先述しましたが、英語が通じない外国人もたくさんいます。しかし、外国語ができないからといってインバウンドへの取り組みをあきらめる必要はありません。

多言語対応ツールの作成、指差し会話シートなどの情報は観光庁にも詳しく提示されています。観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン

また、外国人観光客の中でもVFR(Visiting Friends and Relatives 友人や親族を訪ねるのを目的とした旅行)やリピーター、親日国(台湾、インドネシアなど)の観光客は日本語を知っている人も多いです。やさしい日本語を使うことで、コミュニケーションを取れるケースもあります。

またご自身で、HPや紙媒体の広告を翻訳する場合、一度やさしい日本語に直してから翻訳すれば、シンプルで伝えたい事を伝えることのできる翻訳にもなります。英語などを学ぶのも大切ですが、日本語が外国人とのコミュニケーションツールになる場合もある。そう感じさせてくれたセミナーでした。

 

4.おまけ 語学学習は果てしない

外国人のお客様が増えたから、英語を学ぼう!と考える人も多いのではないでしょうか。私自身も実感していますが、語学学習の道は果てしないです。すでに別の事業に従事している人にとっては、語学学習の時間を作るのも一苦労だと思います。

こちらを見ていただければ、どれほど英語学習が果てしないのかご理解いただけると思います。
英会話上達に必要な時間は?日本人は英語の勉強を甘く見すぎている

それでも外国人観光客に対応しなければならない、という場合、上記したような多言語ツールの利用、やさしい日本語、に加え、外国人に伝えたいオリジナルフレーズ集を作ってしまうのが、一番手っ取り早いです。1から語学を学ぶより、必要なものを取り出して繰り返し使う方が身に着きますし、実用性があります。ぜひ、試してみて下さい。

by Goichi Hikino

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