2019年3月2日、日光彫工房見学ツアーを開催しました。日光彫の工房の中を見学できて、職人の声を直接聞けるのはツアーとしては初めて。日光彫の最前線には何が待っていたのでしょうか?
KGTツアー動画
知られざる事実、分業制で作られる日光彫の作品
日光彫の制作には大きく分けて3つの作業工程があります。まずこの事実だけで驚きの声が!
「1つの物を作るのに多くの時間がかかり何人もの人が関わるということを感じることができた」
「全ての工程を1人の職人が行なうのではなく、それぞれ分担するということに驚いた」
「木地(きじ)→彫り→塗り」の順番で制作していきます。それぞれの行程に職人さんがいて、作業も異なります。1つ1つの工房を見学することで日光彫の知識がグーンとアップ!
ツアーの様子
実際に周った順番とは違いますが、日光彫の制作過程通りに紹介します。
(1)作品の形を決める木地加工
木地作成の行程は「ゑびすや」さん。日光彫に使われる木や乾燥の仕方、実際に作品を成形する様子も見学させてもらいました。
参加者「木を削ったりする道具はどうやって揃えるんですか?」
職人「自分で作ります。」
えっ!?
様々な道具が工房にはありますが、自分で自分に合った道具を作るとは…職人であるとともに鍛冶屋の一面もみることができました。
(2)日光彫を象徴する図柄を作りだす「彫り」
彫りの見学は「平野工芸」さん。母娘2人で出迎えてくれました。今までの作品と、実際にどう彫っていくのかを見せてもらいました。話ながらサクサクと彫りを進めていきます。とても簡単そうに彫っていますが、実はすごい技術。
「もっと話を聞きたいというよりもっと彫っている様子を見ていたい」とポツリ。
職人の技に心を打たれてしまいました。
(3)色鮮やかな漆をイチから学ぶ「塗り」講話
最後の見学は「山田屋」さん。漆について丁寧に教えてくれました。湿度や気温などが影響する漆塗りの工程。とても繊細な作業を経て美しい日光彫の作品ができあがることを実感。
(4)見学の集大成!?日光彫体験
ツアーの最後には、参加者も日光彫体験。特徴的なひっかき刀を使って作品を作っていきます。
「体ごと動いちゃう」、「力が入ってしまう」、「デザインどうしよう」楽しく悩みながらオリジナルのおみやげが完成。
ツアーの感想を一部紹介
「どの工房さんも丁寧に詳しく教えていただいて楽しかった。」
「名前しか知らなかった日光彫を知る事ができて楽しかった。」
「ツアー内容1つ1つが新鮮でとても楽しく、自分の知識の幅を広げることができた。」
「職人=とっつきにくい というイメージがあったが、みんな真逆でおもしろい人達だった。」
なんとな~く感じていた日光彫に対するイメージ。ツアーを通してより身近に具体的に感じてもらえたようでよかったです。
日光彫ツアーギャラリー
さいごに…
ツアーとしては初めての試みである日光彫工房見学ツアー。少しでも日光彫がみなさんにとって身近なモノに感じてもらえればと願っております。
日光彫と暮らす~Living with Nikkobori(FBページ)では、ツアー以外にも日光彫を知る街歩きガイド、日光の伝統工芸品や日光てしごと市の情報など日光の伝統や歴史、技術にふれる機会をたくさん紹介しています。